肩こりとは何か

 他人から肩を触られて、
「凝ってますねー」
 と言われた経験がある人は少なくないかもしれません。

 ゆかり堂にお越しの方の中には、以前に別の所で肩が凝ってますねと言われたらしく、
「私って肩凝ってますか?」
 と尋ねられることがあります。わたしが「自覚的にはどうですか?」と聞くと、「肩が凝ったことないです」と話されるので、
「じゃあ肩こりではないです」
 とわたしは答えます。

「凝ってますねー」と言われる時は「かたいですねー」という言葉に置き換えた方がよいです。
 肩まわりの筋肉がかたい=肩こりではありません。
 肩こりとは自覚症状であって、かたくなっていても自覚がなければ肩こりではないし、やわらかくても自覚があれば肩こりである。とわたしは定義しています。

 わたしの場合、施術中に相手の首や肩まわりの筋肉に触れて「かたい」と感じたら、「首や肩が凝ることはありますか?」と聞くようにしています。
 相手が「ひどい肩こりなんです」と答えれば、「かなりかたいから、つらいですよね」とお話しするし、「肩が凝ったことないです」と答えれば、「そうなんですね」と相槌を打つ。

 施術でもないのに、何の前触れもなく急に肩に触れてきたらハラスメントになるので、現在の一般社会でそんなことがあるのか分からないですが、一昔前はよくあることだったと思います。頼んでもいないのに肩に触れてきて、「凝ってるねー」と恩着せがましく肩を揉んでくるのは、肩こりの人にとってはラッキーと感じることもあるかもしれないけれど、わたしは好きではないです。肩こりの自覚がない人であれば、「私って肩こりなのかな……」と不安にさせることになるし、肩に触れてきた相手によっては、肩に触れられた嫌悪感や拒絶から身体を硬直させているかもしれないのに、「凝ってるねー」とは勘違いも甚だしい、などと思ってしまう。

 肩こりは自覚症状ではありますが、筋肉のかたさを伴っていることが多いです。それを緩めることが改善へとつながりますが、そのかたさの原因となっていることにアプローチしなければ、かたくなる→緩める→かたくなる→緩める……と同じことの繰り返しとなります。
 肩こりに悩む方は、そのつらい状態を改善することがまず最優先となります。鍼灸治療をおこなうと緩んだ状態が比較的長い期間にわたって続くと思うけれど、肩こりの原因となる状況がその後も続けば、また肩こりに悩むことになるだろうと思います。
 なぜ肩こりになるのか、思い当たる原因を追究し、それを避けることもおこなってほしいと切に願います。

〈了〉

2026年04月29日