慢性子宮内膜炎と検査のタイミング

以前から、慢性子宮内膜炎と不妊(原因不明不妊症・着床不全・習慣性流産)の関連性が指摘されています
まだまだ不確かなもので、明らかになっていないことも多いのですが、慢性子宮内膜炎の治療後に妊娠するケースも報告されています

 

○子宮内膜炎
・子宮内膜炎は子宮内膜に炎症を起こしている状態です

【原因】
・原因となる菌は、細菌・真菌・ウイルス・原虫などさまざま

【治療】
・治療は原因菌に応じた化学療法(抗生物質など)によります
・状態により腹腔鏡下手術をおこなうこともあります

 

子宮内膜炎には、急性と慢性があります

○急性子宮内膜炎
急性子宮内膜炎は、月経時に剥がれ落ちる子宮内膜と一緒に細菌も体外へ出て行き、自然に治る場合があります
(症状)細菌が侵入し突発的に発症する時には、発熱、下痢、下腹痛、おりもの増加、不正性器出血など

◎慢性子宮内膜炎
慢性子宮内膜炎は、子宮内膜の深くまで細菌が侵入して炎症を起こし、それが続いている状態で、自然には治らないと言われています
(症状)ほとんど無症状のことが多いです
 まれに軽度の不正性器出血や骨盤痛、性交痛、白色帯下を認める程度

※慢性子宮内膜炎は、ほぼ無症状であるがゆえに、その病態,根本的な原因,治療法を含め,まだよくわかっていないことが多いようです
 不妊症(着床不全・習慣性流産)との関連も、まだはっきりとはわかっていません

 

◎慢性子宮内膜炎の検査

慢性子宮内膜炎は、ほぼ無症状であり、不妊治療のためクリニックに通院していても、はじめの標準的な検査項目には入っていないことが多いため、自分の状態がどうなっているかわかりません

慢性子宮内膜炎の罹患率は約10~30%程度とされています
論文等を見ても見解がわかれていますが、自覚症状がないため潜在的に罹患している人の推計の違いにより数字が変わっているものと思われます


【検査の方法】
○子宮鏡検査
・子宮腔の中に細い内視鏡を挿入し子宮の内面を見る画像診断
・診断の確定はしにくいようで、「慢性子宮内膜炎の疑い」と診断されることがあります

○子宮内膜組織検査(CD138の免疫組織染色法)
・子宮内膜を採取し、CD138の免疫組織染色法を用いて病理組織学的に診断
・検査時期は月経終了後~排卵日前まで
・この検査をおこなえないクリニックもあるため、確認が必要です

 

◎私が考えるポイント

慢性子宮内膜炎であっても妊娠・出産は可能であること
・ゆかり堂にお越しの方の中には、慢性子宮内膜炎が治っていないまま胚移植をおこない、妊娠・出産された方もいます
・自覚症状がないため、慢性子宮内膜炎であっても知らないまま妊娠・出産をしていることもあります

ただし、慢性子宮内膜炎の女性の妊娠率や出産率は、内膜炎が無い女性より大幅に低いと言われています
【データ】
東京大学医学部付属病院の着床外来を2006年6月~08年7月に受診した女性128人のうち80人(約63%)に内膜炎があった
抗菌薬を2週間のむ治療で9割は治癒
よくなった後の状況が把握できている49人中29人(59%)が妊娠
これは同病院の着床外来の患者で、内膜炎の無い女性の妊娠率44%より高かった

慢性子宮内膜炎と診断を受けた方が、抗生物質服用などの治療をし、改善後のほうが着床の確率が上がるため、慢性子宮内膜炎が不妊(着床不全・習慣性流産)の原因のひとつではないかと考えられています

 

検査のタイミング
ここで重要だと考えるのは、検査のタイミングです
ゆかり堂でも、慢性子宮内膜炎と診断された方が何人もいらっしゃいましたが、検査を受け診断された時期は全員が体外受精の胚移植前のタイミングでした

胚移植前に子宮鏡検査や子宮内膜組織検査をし、慢性子宮内膜炎(もしくは疑い)と診断されると、胚移植が延期になることがあります
抗生物質などの薬で改善すれば胚移植周期へと進みますが、炎症が治まるまでに数か月かかる人もいます
原因菌を特定する検査をおこなっていないクリニックもあるため、「慢性子宮内膜炎の疑い」と診断されても処方される薬が原因菌と合っていないこともあり、治るまでに時間がかかるケースもあります

ゆかり堂にお越しの方の中には、慢性子宮内膜炎が治っていないまま胚移植をおこない、妊娠・出産された方もいます

見方を変えると、タイミング療法や人工授精をおこなっている段階で慢性子宮内膜炎の検査を受けて治療をしていたら、体外受精まで進まずに妊娠・出産していたかもしれません
慢性子宮内膜炎の検査を受ける時期としては、タイミング療法や人工授精でなかなかうまくいかないときのほうが良いと思います

 

慢性子宮内膜炎と診断された場合は、抗生物質などを服用する化学療法になりますが、鍼灸との併用もおすすめします
薬で治していきながら、からだを整えていったほうが、着床・妊娠・出産の確率は上がっていきます

 

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